デザイナーの山口絵理子です。 作っている時のインスピレーションの原点やこだわりを ご紹介いたします。
Matou Fringe Outer Oxford Khadiの魅力
こちらは高めの襟がポイントのワンピース兼ライトアウターです。前身頃はスナップボタンで留めるようにしました。
私は今回のコレクション、いいえ、ブランド全体として、印象として本当に大事なところ以外は、ボタンを隠したいなって思いました。
理由は、シルエットや形としての面白さに注目してください!という意志表示です笑。
こちらのMatouの羽織りも、まさにそう。首元の詰まった感じと、フレアの効いた裾のキュッからフワーっていう正反対の個性が醸し出す凛とした表情をまずは感じてほしいと思いました。
このスタイルに、オックスフォードという手紡ぎ手織りの非常にクラシックな生地を持ってきています。
この生地は白と黒の2色の糸を経糸・緯糸それぞれに使っているものですが、普通に使うととっても優等生でコンサバなスタイルが出来上がってしまうのですが、この贅沢な生地分量を使ったフレア感とユニセックスなシルエットによって、なんとなく古いのに新しい・・・、だから今も将来も、きっと長くクローゼットにいてもらえる・・!それが目指したイメージです。
7分丈?5分丈?いいえ、8分丈です笑!
こちらの服の個性はなんと言っても袖丈なんです。
手が長い人、短い人といるかもしれませんが、大体、手首のくるぶしが見えるくらいで、設定されています。
その意図は、初秋のまだ暑さが残る時期には、それくらいが私は素敵だなって思ったのと、もう一つは、中に長袖を着た時にこの丈からちょこっと見えるインナーを楽しんでもらいたいと思ったのです。
こんな風に、あえて中にある袖を見せる設定の着方ってすごく新しくって、まるで靴下がチラッと見えるのを楽しみたくなる気持ちと同じじゃないかなって思うんです。
ハイネックなので、中に着ているものが本来ならば閉じたらわからないけれど、実はビビッドなカラーを袖だけ見せると、なんだか一気に遊び心が溢れてくる仕掛けなのです。
切りっぱなしの存在感
続いては襟にご注目ください。
ERIKO YAMAGUCHIで王道のハイネック仕様にはなっているのですが、実は胴体の部分との接合部でユーモアがあります。写真をご覧ください。
本来折り返したりして処理をするのですが、襟の部分は切りっぱなしで上からミシンで縫っています。それによって繊維が首元でちょっと遊んでいる感じになって(本当によく見ればなのですが)、本当にちょこっとだけナチュラルでワイルドな主張をしています笑。
全体的に、非常に静寂な雰囲気で、カフェで小説を読むのがとってもぴったりなお洋服なのですが、襟元だけ自由奔放さを入れたかった私の本質です!
服にマチがついている?
私は元々バッグデザイナーです。バッグでは前と後ろの型紙を作った後、大体「マチ」という型紙をつけて、それで奥行きを出したりします。お洋服づくりを始めて、服では基本的に「前身頃」と「後身頃」と言って2枚で構成されていることにびっくりしたんです。
でも人間の体もバッグで例えるならば奥行き、つまり厚さがあるよねえ、3Dだもの・・・と内心思っていたんですが、この服でそんな葛藤をぶつけてみました。
みてください!実は脇からマチが入っています。
そしてこのマチがあることで、とっても腕が動きやすくて、目立たないのに人に優しい働きをしてくれているんです。全体的にはそこまでゆったりなサイズ感ではありませんが、このマチがあることにより、「意外と動きやすい」という感想をもたれること間違いありません。
新しい服の「マチ」という概念をぜひ堪能ください。
Matou Fringe Outer Oxford Khadi
マトウ フリンジ アウター オックスフォード カディ
¥40,700(税込)
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